歴史家であり作家でもある加来耕三(かくこうぞう)氏が、昨年だったかラジオでこう言っていた。
「一緒に酒を飲みたい歴史上の人物は誰ですか?」こんなアンケートをとってみると
人気が高いのは、やはり坂本龍馬だそうである。
加来氏のお薦めは、西郷隆盛(さいごうたかもり)。
西郷自身はあまり酒を飲まなかったようだが、きっと座持ちが良いでしょうとのことである。
ミントは気を使う酒は飲みたくない。飲むとしたら若いときの秀吉(木下藤吉郎)あたりか。
織田信長なんかはそばにいるだけで怖いですよね。
読書歴(その15)
今回は司馬遼太郎の続きである。
膨大な資料研究に基づく彼独特の「司馬史観」だが、読者には非常に興味深く
また、わかり易いと思う。
小説の文章は簡潔、明快だし
時々、「余談であるが・・」と自分の体験や知識を披露するのも面白い。
「空海の風景」以外のほとんどの長編作品を読んだが、特に印象の強い作品を取りあげてみる。
「燃えよ剣」
司馬遼太郎本人も好きな作品だったようだ。
新撰組副長だった土方歳三(ひじかたとしぞう)の生きざまを描いている。
鉄の規律で、幕末京都の守備部隊である新撰組を強力な組織にまとめあげる。
暗殺集団だという意見もあるが、ミントは、新撰組が特に嫌いではない。
土方歳三は最後まで官軍に抵抗し、函館(五稜郭)戦争で死ぬが、ぶれない武士らしい生き方を全うしたと思う。
「俄(にわか)」
あまり有名ではないかも知れないが、ミントの好きな作品である。
幕末から明治、大正期に大阪に実在した侠客、明石屋万吉(あかしやまんきち)の痛快な生涯。
面白かった。お薦めです。
「国盗り物語(くにとりものがたり)」
戦国四部作の最初に位置する作品である。
「新史太閤記」
「関ヶ原」
「城塞(じょうさい)」と続く。
戦国時代末期、下剋上で美濃一国の主となった斎藤道三(さいとうどうさん)と
その婿で中世の権威を破壊した織田信長の2人が主人公である。
斎藤道三をこの小説で初めて知った。
その後、戦国四部作を読んで、戦国末期の歴史の流れがすっきり分かった気がした。
「翔ぶが如く」
西郷隆盛が主人公。
大久保利通(おおくぼとしみち)と木戸孝允(きどたかよし)を含め維新の三傑と呼ばれるが
ミントは倒幕と廃藩置県をなしとげた西郷隆盛が一番偉大だと思っている。
小説は、この西郷を中心にして、彼が大久保利通(おおくぼとしみち)との確執を経て、西南戦争で敗れるまでを描いている。
「坂の上の雲」
おそらく「龍馬がゆく」と並び、読者の支持がもっとも高い作品である。
日清・日露戦争を経て成長してゆく明治期の日本を、秋山兄弟と正岡子規を通じて描いた。
読んで、日露戦争が薄氷を踏むような奇跡的勝利だったことも知った。
ちなみに「龍馬がゆく」はサラリーマンのファンが多いが
この「坂の上の雲」は経営者層のファンが多いらしい。
確かに気持ちが高揚する歴史小説ではある。
「韃靼疾風録(だったんしっぷうろく)」
この数年前に「項羽と劉邦」が刊行されて、これからは中国中心の小説を書くのかな
と思っていたら、なんとこの作品が最後の長編小説となってしまった。なので印象が強い。
明朝末期、満州族がどのように中国に侵入し、いかにして清を建国したかが
架空の日本人の眼を通して描かれていた。
準主役として叡親王ドルゴンが出てくる。
これ以降、司馬氏は随筆や紀行文を中心に活動するようになる。
「街道をゆく」
司馬氏の歴史紀行。旅をしながら歴史を随筆風に振りかえる。
日本国内だけでなく中国、韓国、台湾や欧州、米国にも足を伸ばしている。
この作品は彼のライフワークとなった。濃尾参州記が絶筆となっている。
一度読んだが、また読み直してみたい本である。
司馬遼太郎は戦乱期を中心に小説を書いているが
南北朝時代と、日露戦争以降の近代戦争や太平洋戦争は書いていない。
おそらく書きたくなかったのだろう。
司馬遼太郎はミントの読書傾向に大きな影響を与えました。
このブログにもちょっと影響を与えています。
「ちなみに」「余談ですが・・」とすぐに脇道へ話題がそれるところです。
その16へ続く
湯川山下山路にあるゆうれい坂