*ミントの読書歴その17[第118歩・曇]

あと3週間で大晦日
来年の手帳を買いました。
とはいってもシステム手帳の差替えです。


読書歴(その17)


井上祐美子(いのうえゆみこ、1958- )について。
唐、宋、明、清を舞台にした歴史小説を書いている。
女性作家では珍しいのではないだろうか。
当初は伝奇的小説を書いていたが
次第に本格的歴史小説を書くようになったようだ。
ミントは2年位前から読み出した。


長安異神伝(ちょうあんいしんでん)」
唐時代、半神の主人公、顕聖二郎真君(けんせいじろうしんくん)が悪鬼と闘うファンタジー的物語。
長編シリーズであるが1冊しか読んでいない。
もともとファンタジーは好きではないので。


「女将軍伝」
明時代の実在の将軍、秦良玉(しんりょうぎょく)の話。
勇敢で気丈夫な女性がいたものだ。
本格的な歴史小説である。


「紅顔(こうがん)」
明の将軍、呉三桂(ごさんけい)と愛妾、円円(えんえん)の話。
呉三桂は中国では売国奴として有名である。
なぜ彼が山海関を開き、清軍を関内に引き入れるに至ったかを描く。
物語のスケールが大きい。


「臨安水滸伝(りんあんすいこでん)」
臨安は南宋の首都。
主人公の風生(ふうせい)と資生(しせい)が
時の権力者である秦檜(しんかい)に挑む一種の武侠小説
秦檜岳飛(がくひ)を殺した悪名高い人物である。
面白かった。


ところでミントは宋時代に興味がある。
この時代、文治主義であり、科挙で合格した官僚の力が非常に強かった。
また、初代皇帝の趙匡胤(ちょうきょういん)の遺言らしいが
皇帝が替わっても前官僚が誅殺されることはなかったという。
中国では珍しいことである。
ただそのために党争が盛んになり国力が低下している。
現代のどこかの国みたいである。

北部が異民族に侵されるまでは財政も豊かであり平和であった。
大衆も暮らしやすかったのではないだろうか。


「海東青、摂政王ドルゴン」 
清朝3代目の世祖(順治帝)に仕え、清国の基礎を築いたドルゴンの生涯。
ミントはこの本と司馬遼太郎の「韃靼疾風録」を読んでドルゴンに興味がわいた。


あとは短編集の「桃夭記」や「公主帰還」などを読んだ。
女性らしい感性で書かれている。


彼女の作品は、読んで印象に残る作品が多い。
歴史小説も面白いと思います。


                      その18へ続く


黒岩海岸と姫島