*ミントの読書歴その21[第124歩・雨]

今年もあと4日です。
山歩きも年間50回で終わりのようです。


ミントの読書歴(その21)


山本周五郎(やまもとしゅうごろう、1903-1967)について
時代小説作家である。
市井に生きる庶民の生活を描いた作品が多い。
有名な樅の木は残ったはまだ読んでいない。
一部の作品を読んだのが、ミントが多分20代後半の頃だったと思う。


赤ひげ診療譚」(あかひげしんりょうたん)
時は江戸時代、小石川養生所の「赤ひげ」とよばれる医長、新出去定(にいできょじょう)
見習い医師、保本登(やすもとのぼる)の二人が主人公である。
最初は赤ひげに反発していた保本であったが、いかなる場合も医師として最善を尽くす赤ひげに次第に心服してゆく。
読みだすと、ぐいぐいと引き込まれたのを覚えている。
この作品は1965年に
黒澤明監督、三船敏郎主演の映画「赤ひげ」として上映されている。


「五瓣の椿」(ごべんのつばき)
時代小説だが、殺人事件の犯人探しはまるでミステリーのよう。
多分、山本周五郎としては異色の作品ではないだろうか。
面白かった。


楽天旅日記」(らくてんたびにっき)
こんな愉快な本があるのか、と思った。
世間を知らずに育った若殿様が、跡目争いに巻き込まれながらも
城を出て珍道中をする。
ユーモアあふれる話である。


山本周五郎はどちらかと言うと地味な印象ですが、心の暖まる良い作品が多いと思います。


                                   その22へ続く        


**この2週間で読んだ本**


「修羅の剣」上下(津本陽、つもとよう)
幕末の天才剣士、仏生寺弥助(ぶっしょうじやすけ)の生涯を描く。
剣豪小説作家、津本陽の面目躍如の作品。
仏生寺弥助は実在の剣士らしい。
元は越中の氷見仏生寺村出身の農民であったが
江戸三大道場の一つ、斎藤弥九郎練兵館で頭角を現わし
当代随一の剣士となる。
上巻はほとんどフィクションだと思うが、下巻には桂小五郎高杉晋作も登場する。
この天才剣士はいざという時、「仏生時一流」の掛け声とともに相手のアゴを蹴り上げ倒してしまう。
当時の剣道にはこんな技も有りだったのだろうか?


「eの悲劇」 (幸田真音、こうだまいん)
元々この人は、米国系銀行や証券会社で債権ディーラーをしていたらしい。
サンデーモーニング」などのテレビやラジオで活躍しているだけでなく
金融に詳しいので、政府の税制調査会の委員を務めたこともある。

初めてこの作家の作品を読んだ。
警備員をやっている主人公だが
実は、(作家と同じ)元大手金融機関の債権ディーラーである。
株式取引の現場の様子が小説の中で描かれているのが興味深かった。


作礼山