*ミントの読書歴その22[第128歩・雨]

雨が続く年明けです。
いつ初登りができることやら。


ミントの読書歴(その22)


今回は城山三郎(しろやまさぶろう、1927-2007)について。
「総会屋錦城(そうかいやきんじょう)」などの作品で、経済小説作家のイメージがあるが
「黄金の日々」「秀吉と武吉」などの歴史小説も書いている。
また経済人や政治家をモデルにした伝記小説のジャンルを確立した作家でもある。


官僚たちの夏
戦後の高度経済成長時代を背景に、日本の国力を欧米と肩を並べるべく
努力する通産省官僚たちを描く。
昭和50年(1975年)に刊行された作品であり
ミントは会社の上司に薦められて昭和52年(1977年)に読んだ。
その当時はミントが新入社員時代であり、良く理解できない部分もあった。
昔のキャリア官僚(大蔵、通産、自治、警察などの上級公務員試験合格者)は
熾烈な出世競争もあっただろうが、日本のためと思い奮闘したのだろう。


「外食王の飢え」
ロイヤル株式会社の江頭匡一(えがしらきょういち)氏をモデルにして
ファミリーレストランチェーン店の誕生から隆盛にいたるまでを描く。
ロイヤルは、福岡が本社なので興味深く読んだ。
食事を安く、また安定した味で客に提供するため、セントラルキッチンを建設するが
その建設費をペイさせるためには、レストランのチェーン展開をどしどし進めなければならない。
そのがむしゃらな姿勢を「飢え」というタイトルであらわしたのだと思う。
主人公は、試食が過ぎて胃潰瘍になり、何度も胃を切っているのが印象的。


「学・経・年・不問」
学歴も経験も年齢も問わない職業―それはセールスマンである。
性格が全く異なる元高校の同級生の2人が、同じ会社のベッドの販売員となる。
さて勝敗はいかに?
面白い小説だった。


上記の3作品はお薦めです。
あと、広田弘毅ひろたこうき)を描いた「落日燃ゆ」
一部、本屋で立ち読みしましたが、ぜひきちんと読んでみたいと思います。


                           その23へ続く


**この1週間で読んだ本**


「涙流れるままに」上下(島田荘司、しまだそうじ)
ミステリーであるが冤罪(えんざい)問題を扱った社会小説でもある。
冤罪とは、無実なのに犯罪者として有罪にされてしまうことである。
ミントは死刑制度はあったほうが良いと思うが、それも冤罪が発生しないという前提。
日本の刑事事件における自白主義が、冤罪発生のひとつの原因らしい。
考えさせられた。


見帰りの滝