*ミントの人物伝その32[第247歩・晴]

猫のミントが脱走しました。
早く帰っておいで〜。


ミントの人物伝(その32)
マーガレット・ミッチェル(1900-1949)
アメリカの小説家。


ジョージア州アトランタで生まれる。
1918年、医学を志してスミス女子大学に入学するが、
母親が流感で死亡したため学業をあきらめ、アトランタに戻る。
そして『アトランタ・ジャーナル』に入社してコラム執筆者となる。


1922年、ベリアン・レッド・アップショーと結婚。
しかしレッドは酒の密売人だったため、まもなく離婚する。


1925年、ジョン・マーシュと再婚。


1926年、ミッチェルはくるぶしを骨折して、寝たきり生活を送っていた。
彼女のためにマーシュは町の図書館から本を借りてきたが
本好きのミッチェルは次々に読んでしまう。
歴史書が特に好きで、やがて図書館の本を全部読んでしまった。


あきれてマーシュは妻に言った。
「そんなに本が好きなら、今度は自分で書いてみたらどうだい?」
「私が小説を?」


もともとミッチェルは、コラムを執筆していたので、文章を書くことは慣れている。
ただ小説を書けるかどうか自信はなかった。
人には見せまいと考えながらも、いくつかの作品を書いた。が、気に入らない。
やがて南北戦争をテーマに描こう、と思い至る。


南北戦争だったら、私の母方の親戚から多くの話を聞いている。
そして私の故郷アトランタは、南北戦争の激戦地だけど、ここを舞台にした小説はない。
これを書いてみよう−


療養中なので時間はたっぷりとあった。
彼女の執筆手法は、最終章から書き始めたり、章を飛び飛びに書き進めたりと
独特のものだったという。


1929年、小説がほとんど完成する。
ところがミッチェルは、骨折の治癒とともに、小説への意欲も失っていた。
書き終わった原稿を見たいとも思わない。
戸棚・ベッドの下に置いたり、タオルで覆いをして、人目に触れないようにしていた。


1935年、雑誌「マクミラン」の編集者ハワード・ラザムが、ミッチェルの家を訪ねてきた。
共通の知人を通じての紹介であり、ラザムはミッチェルに
アトランタの案内をしてもらう予定だったのだ。
ところが話をして、博識なミッチェルに惹かれたラザムは、彼女に聞いた。
「これまでに何か書いた物はないか」と。
勘が働いたのだろうか。さすがはプロの編集者である。


ミッチェルは当惑した。
−小説は書いたものがある。でも見せられるような物ではない−
そう考え、何もありません、と答えた。
ラザムは、もし何か書いたら最初に読ませてください、と言いホテルに帰っていった。


数日後、この話を友人にしたところ
「あなたが本を書くなんてあり得ない話よね」と笑われる。
ミッチェルは腹を立てた。
自宅に戻って古い原稿を取り出し、ラザムのいるホテルに駆けつける。
そして言った。
「原稿があるわ。私の気が変わらないうちに早く持っていって!」


このあたり、彼女のアイルランド人気質をよく表している。
ちなみにアイルランド人は一般に激しい性格である。
粘り強く、困難にも負けない反面、自己中心的な面もあるようだ。


後日ミッチェルは、あんなものを渡してしまった、と非常に後悔した。
そしてラザムに電報を打つ。
「原稿を送り返してくれ」と。


その頃ラザムは原稿を読んでいて、
この作品は未完成で荒削りではあるが、ベストセラーになるものだ、と確信していた。
ラザムは、原稿を送り返す代わりに原稿料の前渡しをして、
ぜひこの作品を出版させて欲しい、と熱心に頼んだ。


ついにミッチェルは承知し、作品は加筆されて
1936年に完成する。
題名はGone With The Wind風と共に去りぬ)」。


南北戦争下のアトランタを背景に
気性の激しい南部の女スカーレット・オハラの半生を描いたこの作品は、大ベストセラーとなる。


1939年、ヴィクター・フレミングが監督で映画化され、これもまた大ヒット。
アカデミー賞を9部門で受賞し、史上最高の興行収入を挙げた。


この映画にはエピソードがある。
太平洋戦争の初期、日本軍が占領した上海、シンガポール、マニラなどで
日本軍将校たちがこの映画を見て
「こんな映画を作る国と戦争しても勝てない」とショックを受けたらしい。


もしも友人のひと言がなかったら、この作品は世に出なかったかも知れない。


ミッチェルは1949年、アトランタで交通事故により死亡する。
48歳の若さだった。
まさに風のように駆け抜けた人生だった。


(参考文献)
Wikipedia 他
写真はWikipediaから借用しました。




***最近読んだ本***


模倣犯」全5冊(宮部みゆき
宮部みゆきは、若者から老人まで、登場人物を丁寧に描く作家だ。
これが彼女の作品の魅力でもある。
さてこの作品だが、犯人は第2巻を読んだ時点で判明してしまう。
この先どうなるのだろうと思いながらも、面白く、読み出すと止まらない。
主犯の人物像は、この作者しか描けないのではないだろうか。
タイトル「模倣犯」の意味は、最後のクライマックスで明らかにされる。
火車」と並ぶ傑作だと思う。