ミントの人物伝その７４−２〔第677歩〕

兄が天下人となり
この人の運命も大きく変わりました。

1583年（天正11年）、秀長は賤ヶ岳の戦いに参戦する。
戦後、秀長は美濃守となり、播磨・但馬の2ヶ国を領して
姫路城を居城にした。

秀長は守山に進軍し、家康と手を組んでいる織田信雄を監視した。
戦いは小牧で膠着状態となったが、長久手では家康軍が勝利した。
天下統一を目指す秀吉にとって苦い敗戦となったといえよう。

長久手の戦いでは、甥である羽柴秀次の失態が敗戦の原因とされ、
秀吉に激しく叱責されている。

秀長は秀次のために汚名挽回の機会を作ってやろうと考えた。

羽柴（豊臣）秀次

1585年（天正13年）の紀州征伐では、
秀長は秀次と共に秀吉の副将に任命される。
紀州制圧後、秀吉から功績として紀伊・和泉などの
約64万石余の所領を与えられる。

同年6月、四国攻めでは病気で出陣できない秀吉の代理人として、
10万人を超える軍勢の総大将に任じられる。
やはりこの出兵にも秀次を同行させた。
やがて兄の政権を引き継ぐであろう秀次が戦功を立てるよう
気配りをしたのである。
長宗我部元親の抵抗は激しかったが、
同年8月、これを降参させる。

秀長はこの功績で、播磨、但馬に大和を加増されて、
合計約110万石で大和の郡山城に入ることとなった。

新領国である紀伊・大和・河内地方は寺社勢力が非常に強く、
決して治めやすい土地柄ではなかったが、
入国と同時期に盗賊を取り締まり、検地を実施、全5ヶ条の掟の制定や
大和の陶器・赤膚焼を開窯するなど多くの政策を実施している。
これにより、次第に治政も軌道に乗ってゆく。

ただこの頃から秀長は体調が崩れやすくなったため
摂津の有馬温泉で療養をしたりしている。

1586年（天正14年）9月、秀吉は正親町天皇から豊臣の姓を賜り、
12月には太政大臣に就任、ここにその政権を確立した。

なお同年10月には、上洛を拒み続けた家康がついに秀吉に屈している。
これで国内における秀吉の勢力は圧倒的なものとなり
残るは北条氏、島津氏、伊達氏などの東北の諸豪族のみとなった。

やはりこの年のことだが
島津氏の圧迫により窮地に陥った豊後の大友宗麟が、
秀吉に救援を求めて上洛してきた。
秀吉は救援を約束する。
このとき秀吉は
「内々の儀は宗易が、公儀の事は秀長が存じ候」
と述べたという。

翌年の九州平定では、秀長は日向方面の総大将として出陣。
耳川の戦いの舞台となった高城を包囲した。
ここは9年前に、大友宗麟と九州制覇を狙う島津義久が激突した場所だ。

すると援軍として駆けつけた島津義弘が、
秀長の家来、宮部継潤の陣に夜襲を仕掛けた！
根白坂の戦いである。

結局、継潤が抗戦している間に、藤堂高虎、黒田孝高が継潤に合流したので
島津軍の夜襲は失敗に終わった。

そして甚大な損害を受けた島津軍は薩摩に撤退する。
その後劣勢を悟った島津義久が秀吉に降伏し
ここに九州が平定された。

この功績により、秀長は従二位権大納言に叙任された。

ーわしも大納言か。これまでのことが夢のようじゃー

1590年（天正18年）秀長は病が悪化、小田原征伐には参加できなかった。

ーついに北条氏を滅ぼした。
島津や伊達も今や豊臣に臣従している。
あとは秀次がこの政権を守ってくれればそれでよいー

1591年（天正19年）1月22日、秀長は大和郡山城内で病死する。
享年52歳。

秀長の死を聞いた秀吉は号泣した。

秀長は秀吉を制御できる唯一の人物だった。
彼の死により豊臣政権に暗雲が漂いだしたと言えるだろう。
こののち秀吉は、千利休を自刃させ
朝鮮出兵や秀次一族の虐殺などの暴挙を行うようになるのである。

（了）

（参考文献）
Wikipedia
「秀長さん」（鞍馬良）他
画像はWikipedia、Web から借用いたしました。

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