ミントの人物伝その８１−３〔第773歩〕

蒸気機関車の未来がかかった世紀のレースが始まります。

ミントの人物伝（その８１−３）

1829年10月6日、レインヒル・トライアルの日。
晴れ渡った空の下、
レインヒルの草原が1マイル以上に渡り広がっている。
見物人ももの珍しさに大勢押しよせた。

合計で10台の機関車がエントリーしたが、
結局、競争参加したのは5台だった。

トーマス・ブランドレスのサイクロペッド号　
ジョン・エリクソン、ジョン・ブレイスウェイトのノベルティ号
ティモシー・バーストールのパーシヴァランス号
ジョージ・スチーブンソン、ロバート・スチーブンソンのロケット号
ティモシー・ハックワースのサン・パリール号

機関車は1日に2・3回の走行を行い、
数日間にわたっていくつものテストを受けることになった。
レインヒルの草原は完全な水平で、競争を行うには最適の土地であった。

サイクロペッド号が最初の脱落者となった。
なんとサイクロペッド号は、ベルトの上を歩く馬を動力源としていた。
そして馬が機関車の床を突き破る事故を起こして脱落。
見ていた人々の失笑を買った。

パーシヴァランス号が次の脱落者となった。
競争に参加するまでの途上に機関車が破損したため、
バーストールは修理するために5日を費やした。
修理完了の翌日、10マイル毎時の速度を達成できずに競争から離脱した。

サン・パリール号は、8回目の行程を終えた時点で
シリンダーにひびが入って脱落した。

最後に脱落したのはノベルティ号であった。
ノベルティ号は最先端であり、軽量で他の機関車よりも高速であった。
青くスマートな車体で、群集が最も好んだ機関車でもあった。
だが競争中に、15マイル毎時（24km/h）に到達した時点で
配管に問題が生じて競争を断念した。

結局、ロケット号が競争の条件を満たした唯一の機関車となった。
ロケット号は13トンの貨物を牽引して
平均12マイル毎時、最高30マイル毎時で走行することができた。

ジョージらは優勝し、500ポンドの賞金を獲得した。
二人は抱き合い、涙を流して喜びあった。

これによりジョージはリバプール・アンド・マンチェスター鉄道と
蒸気機関車製作の契約を交わすことになった。

1830年9月15日、L&MRの開通セレモニーが盛大に行われ、
首相ウェリントン公をはじめとする政府や産業界の大物が多数出席した。
ジョージは誇らしい気持ちだったろう。

この日、リバプール選出の国会議員ウィリアム・ハスキッソンが
ロケット号に脚をひかれ、死亡する事故が発生した。
世界最初の鉄道事故である。
そのような悲劇はあったが、この鉄道は大成功をおさめた。

ジョージはこれ以降
他の鉄道からも主任技術者の地位を提供されるようになった。
そしてイギリスの全ての鉄道建設に関わることになる。

鉄道はやがてイギリス全土、そして海外に普及し、
人々の生活を一変させてゆくのである。

時は流れ、ジョージはロバートに後を託し
引退して、悠々自適の生活を送るようになった。

天気の良い日には散歩に出かけた。
そしてよく鉄道を眺めていたという。
レインヒルのことを思いだしていたのかもしれない。

1848年、ジョージ・スチーブンソンは肋膜炎を患い死去する。
67歳だった。

努力により偉業を実現した彼は、今も多くの人々に尊敬されている。

（了）

（参考文献）
Wikipedia
サイエンスチャンネル「偉人たちの夢」他
画像はWikipedia、Web から借用いたしました。

コメントは、ブログ運営者（ミント）が確認後に公開されますので
よろしくお願いします。