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1940年、ナチスドイツがパリのパスツール研究所を接収しました。
ここの守衛をつとめていたのが当時65歳のヨゼフ・マイスター。
ヨゼフこそはパスツールの狂犬病ワクチンで助かった3人目の子供でした。
ヨゼフはパスツールの恩に報いるため、墓を暴こうとしたドイツ人に
鍵を渡すことを拒み、ついには自ら命を絶ったといいます。
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*ミントの人物伝91②
1865年、パスツールは養蚕業の救済に取り組むことになる。
絹織物業は19世紀初頭、フランスの重要産業であり
桑の木は「黄金の木」と呼ばれ、多くの富をもたらしていた。
ところがこの頃、微粒子病(ガチーヌ)と呼ばれる病気が発生し、
多くの蚕が絶滅状態になっていた。
パスツールの友人であり師でもあるデュマが、彼にこの困難な仕事を
頼んだのである。
パスツールは蚕についての基礎知識を得るため、アビニョンにいる
昆虫学者のファーブルを訪問し、繭をもらったという。
ファーブル
1867年、ナポレオン3世はパスツールのために、高等師範学校に
物理化学の実験室を作る。
実験室で続けた。
1868年10月19日、
ただ3か月後に奇跡的に回復する。
少し後遺症が残ったが、彼の研究意欲が衰えることはなかった。
パスツールはついに
微粒子病が、カイコの卵がノゼマと呼ばれる微生物(細菌)に感染される
ことにより引き起こされることをつきとめた。
そして養蚕場に顕微鏡での検査を取り入れ、病気を防止する道をひらく。
桑の木はふたたび黄金の木となった。
フランスの手に入れた富は莫大なものとなり、このためフランスは
支払うことができたという。
なお、細菌によって傷口が悪化するものだというパスツールの見解は、
スコットランドの医者リスターの開発した消毒法につながってゆく。
パスツールは蚕の研究を通じて、非常に重要なことに気づいた。
ー蚕の病気が細菌によるものなら、人間が病気になるのも
細菌が原因ではないだろうか?ー
効き目の弱った細菌が、ワクチンとして予防接種に使用できることを
発見する。
なおワクチンをつくり出したのはパスツールだけではなかった。
1876年にジェンナーは、弱い牛痘にかかった人は天然痘にならないこと
を発見し、天然痘を予防するワクチンを作り出している。
パスツールの研究は続く。
これにより牛、羊、馬などの発病を防げることになった。
ついで狂犬病の研究を始める。
狂犬病は動物から人間にうつる最も恐ろしい病気である。
発病するとたいていは死亡した。
病気にかかった動物が犬の場合は狂犬病と呼ばれ
人間にうつった場合は恐水病と呼ばれた。
彼は苦労の末、5年後にワクチンを開発している。
じつは狂犬病の病原体はウイルスであり、彼はその姿をとらえることが
できないまま、犬の体で培養を行い、ワクチンの開発に成功したのだ。
ただむやみな実験はできない。
ワクチンを接種するのは牛や馬ではない、人間だ。
過ちは許されないのである。
1885年、ジョゼフ・メイステルという9歳の少年がいた。
彼は狂犬に14か所もかまれていたので、発病する可能性が高かった。
囚人をワクチンの実験に、と考えていたパスツールは
ためらいながらもワクチンを接種した。
パスツールとジョゼフ
数日が経過し、少年が無事であることを知ったパスツールは
ほっと胸をなでおろした。
同時に大きな喜びがこみあげてきたのだった。
細菌の発見とワクチンの普及は
人類にとり非常に大きな出来事だった。
この研究所は当初、狂犬病の治療目的で建てられたが
やがて世界の科学研究センターとなってゆく。
1895年9月28日、研究所所長に在任のまま
ルイ・パスツール、72歳で死去。
死後になるが1905年にノーベル賞をさずけられている。
研究に情熱をかたむけた偉大な生涯だったといえるだろう。
(了)
(参考文献)
世界を変えた科学者パストゥール スティーブ・パーカー(百々佑利子)
微生物のかりゅうどパスツール エレノア・ドーリー(榊原晃三)
Web他
写真や画像はWikipedia、Web から借用いたしました。
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