ミントの人物伝94〔第922歩〕

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明治時代初期、北海道では南部の一部を除き

稲作は困難と考えられていました。 

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*ミントの人物伝94

 

中山久蔵(なかやまきゅうぞう、1928-1919)

日本の農業指導者。北海道稲作の父。

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河内国大阪府)の農家に生まれた久蔵は、

17歳の頃、家を飛び出し諸国放浪した後、

1853年(嘉永6年)、25歳で仙台藩士・片倉英馬の下僕となった。

そして、仙台藩蝦夷地警護を任されていたので

蝦夷地と仙台とをたびたび往復した。

 

明治の世になり、久蔵は北海道で開拓民となることを決心した。

 

ところで道南地方では幕末から稲作がなされていたが、

札幌より北ではほとんど不可能とされていた。

1871年(明治4年)、開拓使が招聘したトーマス・アンチセル

石狩地方の調査に際して稲作の無理を説いた。 

クラーク博士も、北海道では稲作は無理であるとし、

本州のような小規模農業技術では非効率なので、麦作を中心に

家畜や器械力を使った大規模農業をすべきだと提案した。

 

その結果、彼らの提案どおり一旦は稲作は禁止されたが

開拓民たちの米作りへの執着が変わるはずもない。

久蔵も同じ思いだった。

 

 ー寒冷な北海道では稲作は無理だといわれている。

だが本当にそうだろうかー

 

久蔵は開拓だけでなく、米の品種改良に取り組もうと考えた。 

 

1871年(明治4年)、札幌郡広島村島松(現・北広島市島松)に

入植した久蔵は、道南で栽培されていた地米「赤毛」と

「白髭」を持ち帰り、10aの水田を造った。

 

河川の水は冷たすぎると稲が育たない。

久蔵は迂回水路を造ったり、風呂を持ち出して湯を沸かし

温水を苗代に注いでみた。

気温の下がる夜には徹夜をして風呂水を入れ替えたといいう。

 

1873年明治6年)、ついに久蔵は道南より北では初となる

寒冷地米の「赤毛種」を栽培することに成功、345kgという

高収益を得る。

翌年は不作に終わるものの、あきらめることなく

血のにじむような努力で水田を拡大し続けた。

 

1877年(明治10年)の第一回内国博覧会に自作の米を出品。

大久保利通内務卿より褒章をもらうという快挙を成しとげる。

そしてその後も、何度も品評会で表彰を受けるようになる。

 

久蔵は品種改良した「石狩赤毛」100俵を開拓者に無償で配り、

農村を訪ね歩いて稲作の指導に当たった。

 

ただ北海道の耕地の多くは、作物の生育には不向きな

特殊土壌であった。

特殊土壌とは泥炭土重粘土火山性土などである。

当初はこれらの特殊土壌を避ける形での稲作普及だったが、

久蔵とそれに続いた人たちの成果を見て、

道庁もついに稲作奨励に方針を転換することになる。

道庁は「排水」や「客土」により土壌改良を推し進めたので

水田は増加していった。

 

【図】北海道稲作普及状況図
出典:川口文夫『北海道米作の地理学的研究』

  

 

1892年(明治25年)には全道で2,400haだった水田面積は、

1903年明治36年)には16,200haにまで拡大する。

 

久蔵は「北海道稲作の父」として尊敬されながら

1919年(大正8年)に永眠する。

 

現在北海道は水田面積や米の生産高は日本一だ。

なお「ゆめぴりか」は赤毛種の子孫である。

 

(了)

 

(参考文献)

サイト「水土の礎」

 Wikipedia

 Web他 

 写真や画像はWikipedia、Web から借用いたしました。

 

 

[平成30年の記録]
 http://d.hatena.ne.jp/mint0606/20181231


[平成29年の記録]
 http://d.hatena.ne.jp/mint0606/20171231

 

[平成28年の記録]
 http://d.hatena.ne.jp/mint0606/20161231

 

[平成27年の記録]
 http://d.hatena.ne.jp/mint0606/20151231


[平成26年の記録]
 http://d.hatena.ne.jp/mint0606/20141231


[平成25年の記録]
 http://d.hatena.ne.jp/mint0606/20131231


[平成24年の記録]
 http://d.hatena.ne.jp/mint0606/20121230


[平成23年の記録]
 http://d.hatena.ne.jp/mint0606/20111231


[平成22年の記録]
 http://d.hatena.ne.jp/mint0606/20111230


[人物伝]
 http://d.hatena.ne.jp/mint0606/20140930


[YAMAPの記録]
https://yamap.co.jp/mypage/199626

 


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