ミントの人物伝その81−1〔第771歩〕

イギリス人の立身出世物語です。3回連続です。

ミントの人物伝(その81−1)
ジョージ・スチーブンソン(1781−1848)
イギリスの機械技術者、「蒸気機関車の父」


イギリス、ノーサンバーランド州ウィラムで
父ロバートと母メイベルの間の2人目の子として生まれた。
両親とも読み書きができなかった。

父のロバートはウィラム炭鉱で機関夫をしていた。
蒸気機関の釜を焚く仕事だが、非常に低賃金で
子供たちを学校に通わせるができなかった。
ジョージは父の助手をしながら機関夫の技術を学ぶ。

17歳で、ニューバーンの炭鉱で機関夫となる。
体格も大きいジョージはすぐに仕事に慣れていった。

18歳になるまで無学で、自分の名前も書けなかったが、
教育の必要を痛感したジョージは、働きながら夜間学校に通い、
読み書きや算数を学びだした。

1801年、ブラックカラートン炭鉱で縦坑の巻上げギアを制御する
制動手として働き始める。

1802年フランシス・ヘンダーソン結婚し、
ニューカッスルの東にあるウィリントン・キーに引っ越した。

1803年、息子のロバートが生まれる。
翌年キリングワース近郊のウェストムーアに引越し、
キリングワース炭鉱で制動手として働く。

ところが3年後、妻のフランシスが結核で衰弱死してしまった。
この頃はジョージにとりつらい時期だった。

1811年、キリングワースの別の炭鉱でポンプが故障し、
器用なジョージに修理が依頼された。
その修理がうまくいったため、技師に昇進し、
キリングワース付近の全ての炭鉱の機械の面倒を見ることになった。
やがてジョージは蒸気機関にも精通するようになる。


そのころの炭鉱では、明かりとして焚いた火のせいでしばしば爆発が起きていた。
1815年、ジョージは爆発を起こさない安全ランプの開発を始めた。

同じころコーンウォール出身の著名な科学者ハンフリー・デイビー
同じ問題の解決策を模索していた。

ハンフリー・デイビー

科学知識のないジョージは試行錯誤の末、
小さな穴から空気を取り入れるランプを考案する。
これは爆発が起きにくい優れた製品だった。

だがその1カ月後に、デイビーが王立協会に
自身の設計したランプ(デイビー灯)を提示している。

この発明でデイビーは賞金2,000ポンドを受け取ったが、加えて
「ジョージはデイビーのアイデアを盗んでいる」として
ジョージを告発した。

両者のデザインはあきらかに異なっていた。
デイビー灯は細かい網で囲われていたのに対し、ジョージの安全灯は
ガラスで覆われていたのだ。

ジョージの安全灯(中はカバー、右が本体)
とデイビー灯(左)

委員会が調査した結果、ジョージが独自に発明したことを証明したため
彼は無罪解放される。

さらに委員会は、デイビーの受け取った2,000ポンドの半分を
ジョージに渡すよう命じたが、デイビーとその支持者らはこれを拒否した。

彼らは、「スチーブンソンはもと炭鉱の機関夫だそうな。
そのような無学な男にこの発明ができるはずがない」
と主張したのだ。

ジョージはこれ以降
ロンドンを拠点とする科学者への不信を抱くようになった。

しかしながらジョージの安全灯は、多くの坑夫たちに支持され
使用されることになる。
その結果、坑内での爆発事故は激減した。

坑夫たちは感謝のしるしとして、ジョージに銀の時計を渡した。

彼はこれを非常に喜んだという。


(続く)


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