*ミントの読書歴その7[第103歩・曇]

14日(日)に佐賀県有田の黒髪山(くろかみざん)に登る予定です。
少しは白髪が黒くなるでしょうか


読書歴(その7)


中学時代は
旺文社文庫を中心に、日本文学にも少し親しむようになった。
記憶に残っているものを取り上げると


次郎物語」(下村湖人、1884-1955)


たぶん中学生になって早々に読んだと思う。
これは旺文社文庫ではなかった。
赤い表紙の単行本だった。出版社は覚えていない。
テレビドラマが放送されていたので興味を持ったのがきっかけである。
第1巻は主人公が子供時代の話であり、割と面白く読めたが
だんだんと哲学的な内容になり読むのが辛くなった。
全5巻だったと思うが、3巻くらいまでしか読んでいない。


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余談ですが、以前はよく第○巻(かん)と云いましたし
時代小説、漫画でも一話ごとに
○○の巻(まき)という表現が多かったものです。
これは昔の書物である巻物(まきもの)の名残だと思いますが
いかがでしょうか?


「坊ちゃん」「我輩は猫である」(夏目漱石、1867-1916)


有名な「坊ちゃん」だが
読んだ時こんなに面白い小説があるのか、と思った。
勧善懲悪の痛快なストーリーだが最後は余韻も残している。


我輩は猫であるは読み初めてすぐに、言葉が難しいと思った。
注釈を見ながら悪戦苦闘して最後まで読んだが
ほとんど内容が頭に残っていない。
覚えているのは、猫がモチを食べて踊ったところぐらいか。
猫が主人公なら面白いのでは、と思って読んだが「坊ちゃん」とずいぶん違う。


最後で猫の独白場面がある。
「主人は早晩胃弱で死ぬ」と書かれている。
この「早晩(そうばん)」の意味を取り違えて
主人が夕方に胃弱という病気で死ぬんだ、と思いびっくりしたのを思い出す。



天平の甍(いらか)」(井上靖、1907-1991)


井上靖は自伝的小説しろばんばを書いている。
それが読んだのがきっかけで、この作者の他の作品を読むようになった。


唐の僧である鑑真(がんじん)和上が、苦難の末に日本へ渡海するまでを描いたもので
日本人の2人の青年僧がそれにからんで、感動的な物語となっている。


この作者の作品には歴史物がある。
楼蘭(ろうらん)」「風涛(ふうとう)」「蒼き狼」「敦煌(とんこう)」などで
これらはミントが高校生になり読むようになる。


「どくとるマンボウ航海記」(北杜夫、1927-)


北杜夫(きたもりお)は本名が斎藤宗吉(さいとうそうきち)であり
歌人斎藤茂吉(さいとうもきち)の息子である。
東北大学医学部に進んでいるが、所在地の仙台は杜の都(もりのみやこ)なので
このペンネームにしたらしい。


彼はナチスドイツの狂気を描いた「夜と霧の隅で」芥川賞を受賞する。
シリアスな内容であったが、これに反して
この「どくとるマンボウ航海記」
船医として、水産庁漁業調査船に乗り込んだ実体験を基にして書かれたものであり
ユーモアあふれる作品だった。
「どくとるマンボウ」シリーズは、エッセイ風読物だが、面白かったので全て読んだ。


中学時代、文学作品は有名な作品を読んでいました。
でも面白かったのはやはり推理小説とSFでした。

                               その8へ続く


四王寺山