*ミントの街ある記その15[第256歩・晴]

福岡市の東にある糟屋郡志免町(かすやぐんしめまち)に行きました。
時間が少しあったので、ここにある竪坑櫓(たてこうやぐら)跡を見物しました。


ミントの街ある記(その15)



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ここにはかつて炭田がありました。
1889年(明治22年)以降、海軍による石炭の採掘が始まりました。
石炭の質が良かったので、戦艦の燃料に使用するためです。
やがて「海軍採炭所」は「海軍燃料廠採炭部」と名称が変わります。


石炭を大量に安定して生産することは軍事上、非常に重要なことだったので
より深い層の石炭を採掘するために
1943年(昭和18年)に、当時東洋一といわれる竪坑櫓が作られました。


竪坑櫓は作業員と石炭を昇降させる機械を設置した建物です。
エレベーターのようなものでしょう。
高さ47.6m、長辺15.3m、短辺12.3mです。
この建物と垂直に掘られた竪坑を使って、地下600mもの深さまで到達できました。


この形の建物が残っているのは、
志免(日本)・ブレニー(ベルギー)・撫順(中国)の3箇所だけだそうです。
国の重要文化財になっています。


戦後、ここは国鉄が経営し日本国有鉄道志免鉱業所」になります。
石炭が蒸気機関車の燃料として必要だったからです。
戦前は海軍、戦後は国鉄と、国営であり続けた炭鉱は日本でここだけです。


やがてエネルギー革命により石炭の需要が減少し
1964年(昭和39年)、ついに閉山してしまいました。