*ミントの読書歴その19[第121歩・曇]

今年50回目の登山が決まりました。
19日(日)に佐賀の作礼山(さくれいざん)に登ります。


読書歴(その19)
陳舜臣(ちんしゅんしん、1924-)について
台湾出身の中国歴史小説の巨匠である。
4・5年位前から読み出したので、一部の作品しかコメントは出来ない。


「風よ雲よ」
明末の武将であり海賊であった鄭芝竜(ていしりゅう)が主人公。
動乱の時期、様々な人物が登場する大河小説。
非常に関心がある時代だったので面白く読んだ。


鄭成功ー旋風に告げよー」
女真族の侵攻激しい明末期に
明の皇室から国姓(こくせい)「朱」を賜った忠義の武将がいる。
名前は鄭成功(ていせいこう)鄭芝竜を父、日本人を母として生まれた人物である。
明朝復興のため尽力し、一時期は南京包囲にまで至るが
結局本土から離れ、台湾を占拠し抵抗を続けることになる。
この作品は彼の波乱の生涯を描いた小説である。


江戸時代に、近松門左衛門(ちかまつもんざえもん)がこの人物をモデルにして書いたのが
国性爺合戦(こくせんやかっせん)」

人形浄瑠璃、のちに歌舞伎で上演され、好評を博している。
この舞台で演じる荒事(あらごと)は
あの市川團十郎代々のお家芸だそうである。


「インド三国志
17世紀のインド、ムガール帝国6代目皇帝はアウラングゼーブ帝である。
彼の父はシャー・ジャハーン、有名なタージ・マハル廟を作っている。
アウラングゼーブは、国内の勢力拡大にのみ力をそそいだため
帝国の領土は最大となるが、やがて英国の侵略を受けることになる。
馴染みのないインドの歴史が興味深かった。


ところでインドや東南アジアの歴史小説は数が多くない。
誰でも良い。もっと書いてくれないものだろうか。


琉球の風
17世紀初頭、薩摩藩琉球を占領する。
そのいきさつを描いた作品。
琉球占領が江戸幕府公認とは知らなかった。
当時の琉球は、武器を持たない平和な国(くに)であったようだ。
大河ドラマにもなったので見た人も多いと思う。


「小説十八史略
ロングセラーである。
日本人に、前近代の中国歴史を分かりやすく紹介したという点で
画期的だったのではないだろうか。
堯舜(ぎょうしゅん)帝の神話時代から
南宋(なんそう)の滅亡まで
王朝興亡の歴史を描いている。
読みやすいし、人間の生(なま)な姿がよく描かれている。


中国の歴史は勇壮・痛快・哀切・残酷である。
ちょっと日本人の感覚からずれているところもあるが
そこがまた面白いと思う。


この作家の代表作といえば
阿片戦争(あへんせんそう)」
太平天国(たいへいてんごく)」
であるがまだ読んでいない。
来年はぜひ読みたいと思う。<鬼の笑い>


                     その20へ続く


叶岳