まとめて読書感想です。
「指し手の顔、脳男Ⅱ 上・下」(首藤瓜於、しゅどううりお)
問題作「脳男」の続編である。
ただ前作から7年も経って発刊されていることから
著者はじっくりと構想を練って書いたものと思われる。
感情を持たない怪人の鈴木一郎が前作と同様に出てくるが、
なんといっても、美人の殺人者イブが強烈な存在感を示す。
残虐なシーンも出てくるが、息もつかせぬ物語の展開に目が離せない。
「黒書院の六兵衛 上・下」(浅田次郎、あさだじろう)
ときは幕末。
戊辰の合戦が終わり、慶喜が官軍に対し恭順の姿勢を示したころから
この話は始まる。
なぜか江戸城二の丸に籠城する武士が一人。
彼は何者なのか?
そして何を考えてこのような行動をとるのだろうか?
福地源一郎(桜痴)が出てくるのは面白かった。
この人物は明治初期に新聞の刊行を手がけた有名人である。
「荒仏師運慶」(梓澤要、あずさわかなめ)
仏師というのは仏像を彫る職人のこと。
彼が阿(あ)像を手がけたのでそれは力強い作品となり
吽(うん)像は快慶が担当したのでスマートな感じになったそうである。
熟読すれば仏像について造詣が深くなりそうだな、と思った。
「ストロベリーライフ」(荻原浩、おぎわらひろし)
主人公は東京でデザイン事務所を営んでいたが、静岡の父親が倒れたので
急遽、イチゴ農家の手伝いをすることになった。
主人公の悪戦苦闘と家族とのつながりを描く佳作。
「バイバイ、ブラックバード」(伊坂幸太郎、いさかこうたろう)
彼の作品の中では少し異色作。
読んだことはないが太宰治「グッド・バイ」のオマージュらしい。
主人公は借金のため「あのバス」で連れ去られる運命になってしまった。
その前につきあっていた5人の恋人たちに別れを告げに行くのだが・・
深刻のようでなんともおかしみがある作品である。
山歩きで何度も一緒だったヨウさんが10月8日に亡くなりました。
ご冥福をお祈りいたします。
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