ナポレオンとベルナドット6[第1,128歩]

ナポレオンの没落がはじまります。

人生も山歩きと同じで、山高ければ谷深し、ですね。

 

ジャン=バティスト・ジュール・ベルナドット1763年 - 1844年

スウェーデン王太子カール・ヨハン

 

ナポレオン・ボナパルト(1769年-1821年 )

皇帝ナポレオン一世(在位:1804年-1814年、1815年)

 

ロシア遠征の大敗を見た各国は、一斉に反ナポレオンの行動を取る。

初めに動いたのがプロイセンであり、諸国に呼びかけて対仏大同盟

結成する。

この同盟には、カールスウェーデン7月に参加した。

カールの心中は複雑だった。

ーわたしはフランスの裏切り者になるのだろうか?

いやわたしはナポレオンのやり方に反対しているのだ。

スェーデンの国民のためであれば、なんと呼ばれても

しかたあるまいー

 

ロシア遠征で数十万の兵を失った後に強制的に徴兵された、

新米で訓練不足のフランス若年兵たちは「マリ・ルイーズ兵」

陰口をたたかれた。

1813年オーストリアも参戦した同盟軍は

ナポレオン本隊との会戦を避けながらナポレオンの部下たちを次々と破った。

ドレスデンの戦いでナポレオンはオーストリア・ロシア同盟軍を破ったが

敗走する敵を追撃したフランス軍クルムの戦いで包囲されて降伏する。

 

10月のライプツィヒの戦いではナポレオン軍は対仏同盟軍に包囲されて大敗し、

フランスへ逃げ帰った。

 

カールは終盤で参戦したが、戦略立案で同盟国軍の勝利に貢献している。

のちにナポレオンは、このときのカールのことを

「我々を失墜させたフランス人」と怒りをこめて呼んだとされる。

 

 

1814年になり、50万の連合国軍がフランス国内になだれこんだ。

 

3月31日、アレクサンドル1世らロシア軍が入城、パリが陥落する。

このときナポレオンは自殺を図ったが失敗している。

ナポレオンは退位し、その後エルバ島に流されることになる。

 

このときカールの軍は、連合軍のフランス戦役に参加していない。

故国を攻撃することにためらいがあったのも事実だが、

じつはノルウェー獲得のためデンマーク攻略に向かっていたのだ。

 

1814年1月6日、デンマーク国王フレゼリク6世は降伏する。

キール条約が締結され、

スェーデンはポメラニアとリューゲン島を手放す代わりに

ノルウェーはスェーデン国王に割譲されることになった。

 

ところがノルウェーでは

デンマーク王族でノルウェー総督のクリスチャン・フレゼリクがこれに反対し、

自らノルウェー国王になろうとした。

 

4月14日、久しぶりにカールはパリの地を踏んだ。

ノルウェー併合について連合国の了解を得ておこうと考えたのだ。

このときアレクサンドル1世と会い、友情を深めることができた。

この友情はアレクサンドル1世が死ぬまで続くことになる。

 

またナポレオンの妻であったジョゼフィーヌにも会っているが、

彼女はこのあとまもなく亡くなってしまうのである。

 

5月1日、カールはフランスを出国する。

彼はもうこれで故国の土を踏むことはないような気がした。

 

6月10日に、カールとスウェーデン軍はストックホルムに凱旋する。

だがおちついている時間はなかった。

ノルウェーでは反乱がおこっているのだ。

 

クリスチャン・フレゼリク

 

7月にカールはノルウェーに進撃し、フレゼリクを追い込む。

死者を出すこともなくモス条約が締結された。

フレゼリクは退位を受け入れるかわりに条件を提示して、

結局、

1.ノルウェーは独自の憲法をもつこと

2.連合形態はノルウェーの一定の自治を認めたモス条約が適用されること

となった。

スウェーデンには一部の反対意見もあったが

カールとしてはむしろこのほうが好ましいと考えていた。

 

その後ノルウェー議会は憲法の修正を行い、

カール13世をノルウェー国王として採択した。

こうして両国は同じ君主を戴く連合王国となった。

この年9月のウィーン会議において、

スウェーデンノルウェー連合王国は諸国に認められることになる。

 

ウィーン会議オーストリア外相のメッテルニヒが中心になり開催されたが、

ナポレオン戦争の戦後処理の議論はなかなか進まず、

「会議は踊る、されど進まず」と風刺された。

 

翌年になってもまだ会議は続いていたが、

1815年2月、衝撃的なニュースがはいってきた。

ナポレオンがエルバ島を脱出したというのだ。

 

 

(続く)

 

 

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